建設業許可が必要な場合

建設業を営もうとする場合は、建設業の許可を受けなければなりません。それは公共工事であるか民間工事であるか、法人であるか個人であるか、元請けであるか下請けであるかといったことは関係ありません。
ただし軽微な建設工事のみを請け負う場合は許可を受ける必要はありません。では軽微な建設工事とはどういった工事でしょうか?

工事1件の請負代金の額が次の場合となります。

請負代金の金額
建築一式工事の場合1,500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事
建築一式工事以外の場合500万円未満の工事

※ 工事の完成を2つ以上の契約に分割して請け負う場合は、原則としてそれぞれの契約の請負額を合計したものとなります。
※ 材料が注文者から支給される場合は、材料費も含まれます。
※ 上記金額には消費税が含まれます。

軽微な工事のみを請け負う場合、許可を受ける必要はありませんが、業種によっては登録等が必要となる場合がありますので注意が必要です。
『解体工事業や電気工事業等』

建設工事の種類

建設工事は2つの一式工事と27つの専門工事に分類されています。
平成28年6月に法律が改正され、解体工事業が追加されたことにより29種類となりました。

※一式工事とは
一式工事とは、総合的な企画、指導および調整の下に土木工作物または建築物を建設する工事です。
複数の専門工事が組み合わさっている場合や単一の専門工事であっても規模や複雑さにより個別の専門工事としては施工することが難しいものです。

一式工事の許可のみ持っている場合、個別の専門工事を請け負うことはできません。

請け負った一式工事に専門工事が含まれている場合は、その専門工事の許可を持っていなくても
次の場合は、施工可能となります。その他の場合は、他の専門工事業者に下請けに出すことになります。

 ○専門技術者を置く(その専門工事の主任技術者となれる資格を有する者)

建設業許可の区分(営業所)

建設業を営もうとする場合、建設業の許可を受ける必要がありますが、営業所の所在地によって、大臣による許可なのか、都道府県知事による許可なのか違いがあります。

※営業所とは
本店、支店、常時建設工事の請負契約を締結する事務所

① 大臣許可 → 2つ以上の都道府県に営業所がある場合
② 知事許可 → 1つの都道府県のみに営業所がある場合

もし、複数の営業所がある場合であっても、1つの都道府県内にある場合は知事許可となります。

なお、受けている許可が知事許可であっても、工事の施工は営業所の所在地以外の都道府県でも可能となります。
例えば、兵庫県知事の許可であっても、大阪府や愛知県での施工は可能です。

建設業許可の要件

建設業の許可を受けるためには、法人であるか個人であるかを問わず下記の5つの要件を満たす必要があります。

① 経営業務の管理を適正に行う能力があること
② 営業所ごとに専任技術者がいること
③ 財産的基礎又は金銭的信用ががあること
④ 請負契約に関して誠実性があること
⑤ 欠格要件に該当しないこと

5つの要件を全て満たす必要がありますが、そのことを書類で証明する必要があります。もし要件はクリアできていても、そのことを証明できる資料がない場合、許可を受けることができないので注意が必要です。

1.経営業務の管理を適正に行う能力があること

建設業の許可を受けるための要件の一つに、経営業務の管理を適正に行う能力が必要とされます。これは、2つのパターンがあり、常勤の役員のみでクリアできる場合と常勤役員とその人を補佐する人とでクリアする場合です。

具体的には、次のような経験となります。

【常勤役員等1人で要件をクリアできる場合】

① 建設業に関し、5年以上の経営業務の管理責任者としての経験
② 建設業に関し、5年以上の経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者
③ 建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者

【常勤役員等と補佐する者で条件をクリアする場合】

基準を満たす常勤役員等1名とその人を直接補佐する人が必要となります。

・常勤役員等について

①建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有し、かつ、五年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者としての経験を有する者
②五年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、二年以上役員等としての経験を有する者

・補佐するものについて

財務管理の経験、労務管理の経験、運営管理の経験が5年以上ある人が必要となります。これは補佐する建設業者での経験が必要となります。

実際に許可申請の際には、これらの経験があることを証明するために各種資料が必要となります。経験を証明するために、法人登記事項証明書や確定申告書、工事の契約書等が必要となりますし、常勤であることが求められるのでそれを証明するための資料も必要となります。

なお、注意を要するのは、最初にも記載しましたが、役員等は常勤であることが必要となります。なので、住所が営業所から遠すぎる場合や、他の法令で専任が必要とされている場合は常勤には該当しません。

例えば、建設業とは別に建築士事務所等を経営しており、そちらで管理建築士となっている場合等は常勤とはなりません。ただし営業体、場所が同一の場合は兼任が可能となります。

【社会保険の加入について】

令和2年の法改正があるまでは、社会保険に加入していなくても一応許可はされていました。
しかし、改正後は、しっかりと社会保険に加入していなければ、要件を満たしていないこととなり、許可されることはありません。

2.専任技術者

建設業許可を受けるためには、専任技術者を置く必要があります。
これは、建設工事に関する専門知識を持った人を置くことにより、請負契約の適正な締結、履行を確保するためのものです。専任技術者には誰でもなれるわけではなく、資格や経験を持った人がなることができます。

また業種ごとに資格は異なってきますし、一般建設業と特定建設業でも必要とされる資格、経験は違ってきます。要件としては、特定建設業の方が厳しくなっております。

経営業務の管理体制と同じように専任技術者も常勤が求められます。経営業務の管理を担う役員が専任技術者の要件を満たしている場合、兼任することが可能です。

【一般建設業の許可を受けようとする場合】

① 指定学科を修了し、高校卒業後5年の実務経験
② 指定学科を修了し、大学卒業後3年の実務経験
③ 指定学科を修了し、専門学校卒業後5年の実務経験
④ 指定学科を修了し、専門学校卒業後3年の実務経験(専門士、高度専門士)
⑤ 10年の実務経験
⑥ 有資格者

【特定建設業の許可を受けようとする場合】

① 有資格者
② 一般建設業の専任技術者の要件を満たす
 +
発注者から直接工事を請け負い、その金額が4,500万円以上であるものについて2年以上指導監督的な実務経験を有する者

※ 指定建設業については、①の有資格者しか特定建設業の専任技術者になることができません。
※ 指定建設業 : 土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業

許可の申請の際には、経験を証明する資料、経験当時・現在の常勤を証明する資料を準備する必要があります。本当に経験があったとしても、経験を書面で証明することができなければ、その人は専任技術者となることはできませんし、他に該当する人がいなければ、許可申請すら出来なくなってしまうので注意が必要です。

3.財産的基礎・金銭的信用

建設業の許可を受けるためには、財産的基礎・金銭的信用があることが求められます。
これは、請負契約を履行するために必要とされる水準であり、対外的な信用を担保する要素の一つとなります。

特定建設業は一般建設業よりも請け負う工事の規模が大きいため要件は厳しくなっております。発注者との間の請負契約で、その金額が8,000万円以上のものを履行することが可能な財産的基礎を有することが必要となっております。

【一般建設業】
① 直前の決算において自己資本が500万円以上あること
② 500万円以上の資金調達能力があること (金融機関の残高証明書等)
③ 許可申請直前5年間許可を受けて継続して営業した実績があること (更新等)

【特定建設業】
許可申請直前の財務諸表においてすべてに該当する必要があります。
① 欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
② 流動比率が75%以上
③ 資本金の額が2,000万円以上
④ 自己資本の額が4,000万円以上

※ 資本金は、要件を満たさない場合、申請までに増資することにより要件を満たすことが可能となる場合があります。
※自己資本は、必ず申請直前の財務諸表で要件を満たす必要があります。

4.建設業の営業所

建設業を営む場合、営業所が必要となります。
営業所とは、本店、支店、常時建設工事の請負契約を締結する事務所のことを言います。しかし、実体のない単なる登記上の本店や建設業と関係のない業務のみを行う本店等は営業所には該当しません。

また、資材置場や単なる作業場、事務連絡所等も建設業の営業所には該当しません。
建設業の営業所と言えるためには、いくつか要件があります。

○ 事務所の使用権限があること
○ 固定電話、事務機器、机等什器備品があること
○ 許可を受けた場合、標識を掲げること

5.誠実性と欠格要件

【誠実性】
建設業の許可を受けるためには、請負契約に関する誠実性が求められます。これは役員等が不正または不誠実な行為をしてはならないということです。

不正な行為 → 請負契約の締結または履行の際における詐欺、脅迫、横領等の法律に違反する行為
不誠実な行為 → 工事内容、工期、天災等不可抗力による損害の負担等について契約に違反する行為

【欠格要件】
法人・役員・個人事業主等が欠格要件に該当している場合は許可を受けることができません。
全てではありませんが、例えば下記のような事項となります。

① 許可申請書、添付書類等に虚偽の記載があったり、重要な事実が記載されていない場合
② 成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ない者
③ 一定に事由により建設業の許可を取り消されその取り消しの日から5年を経過しない
④ 禁固以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
⑤ 暴力団員等がその事業活動を支配する者

建設業の有効期間(更新)

建設業許可は5年間の有効期間があります。許可のあった日から、5年目の許可があった日に対応する日の前日までが許可の有効期間となります。

5年を超えて営業しようとする場合は、更新の手続きを取る必要があります。更新をせずに有効期間が経過してしまった場合は、改めて新規申請が必要になります。新規申請となると、更新の場合は省略できた書類が必要となりますし、財産的要件等もまた審査されることになります。

期間が満了する日の30日前までに手続きを取る必要があります。もし更新手続きをして期間満了日までに許可または不許可の処分がなされない場合、元々持っていた許可は有効期間が経過した後も、その処分がなされるまでは有効となります。

建設業許可と会社設立

会社を設立して建設業の許可を取得する場合、最初から要件を考慮して設立する必要があります。

経営業務の管理責任者の要件を満たす人が役員の中に一人必要です。もしいないまま設立してしまうと改めて登記のやり直しとなってしまうので費用も時間も余分にかかってしまうので注意が必要です。

財産的要件に関しては、一般建設業の場合は、資本金を500万円以上にして設立するとスムーズに進みます。特定建設業の場合は、要件が資本金2,000万円以上・自己資本4,000万円以上となりますので最初から資本金を4,000万円以上にする必要があります。

会社の事業目的にも注意が必要です。建設業を営むということが入っていなければなりません。それぞれの工事を個別に記載することもありますし、建設業を営むことを包括的に表現して記載することもあります。

個人から法人化した場合

建設業許可は、個人でも法人でも取得することが可能です。
以前は、個人で取得していた許可は、法人に事業形態を変更した場合引き継ぐことはできず、改めて許可を受ける必要がありました。しかし法改正があり、認可という制度ができしっかりと計画を立て手順を踏んでいけば個人の許可を引き継ぐことができる可能性も出ました。

また法人化するということは事業を継続していくということでもあります。
一人で会社設立される方も多くいますが、後継者のことを考えると経営業務の管理責任者の要件を満たすために、役員に別の人を入れておくことも重要になってきます。

建設業許可の変更

変更には内容と期間が決められています。

○事実発生後14日以内に届け出する必要があるもの
・経営業務の管理責任者に関する変更
・専任技術者に関する変更
・令3条に規定する使用人に関する変更(営業所長等)
・欠格要件に該当する者があったとき

○事実発生後30日以内に届け出する必要があるもの
・商号または名称の変更
・営業所に関する変更
・資本金の変更
・代表者、役員に関する変更
・支配人に関する変更

○事業年度終了後4か月以内に届出する必要があるもの
・決算報告
・国家資格者等に関する変更
・定款
・健康保険等の加入状況

経営業務の管理責任者や専任技術者に関しては、一日でも欠けると許可要件を欠き許可を維持できなくなってしまうので注意が必要です。

決算変更届

建設業を受けた後、申請内容に変更があった場合、各種変更の手続きが必要となりますが、その内の一つに決算変更届というものがあります。

これは、毎年事業年度終了後4か月以内に提出する必要があります。
毎年この決算変更届を提出していないと更新の際に受付できない場合もありますし、まとめて処理しようとするとなかなか大変な作業となりますので毎年しっかりと提出することが大事となります。

財務諸表、工事経歴書、直前3年の工事施工金額、納税証明書等の書類が必要となります。
財務諸表については税務申告に使用したものではなく、建設業法施行規則に定められた様式に従って作成する必要があります。

また、経営事項審査を受ける場合は、財務諸表、工事経歴書、工事施工金額は、税抜きで書類を作成する必要がありますので注意が必要です。工事経歴書については、これも経営事項審査を受ける時と受けない時で、作成方法が異なってきます。

許可業種の追加

建設業許可を受けて営業している中で、取得していない業種の許可が必要となることもあります。その場合は業種の追加申請をすることにより取得します。

これは一般建設業の許可を取得している業者が、別の一般建設業の業種を追加取得することを言います。また特定建設業も同じように、別の特定建設業の業種を追加取得することを言います。

一方で、ある一般建設業の許可を取得している業者が、別の特定建設業の業種を追加したい場合は、新規申請となります。逆の特定建設業の業種+一般建設業の業種も同様です。

取得している業種が複数になってくると許可日等が異なってくることもあります。そうなると管理が複雑になりますので、有効期間を調整することにより許可日を一本化することも可能となります。

営業していく中で必要に迫られ業種追加申請する場面もありますが、建設工事は複数の業種が関連することも多くあると思いますので、許可の取得を考える際、関連する業種をあらかじめ取得しておくことで営業の拡大を図ることもできます。

業種の追加、複数の業種の申請の場合は、やはり経営業務の管理責任者、専任技術者等の要件には注意が必要です。

建設業許可申請に必要な手数料

建設業の許可を申請する場合、手数料が必要となります。
その額は、都道府県知事許可や大臣許可でも違ってきますし、申請内容によっても変わってきます。

受ける業種の数は手数料の金額に影響はありません。しかし、一般建設業と特定建設業を同時に申請する場合、別々のものとして扱われますので、手数料は多くなります。

例えば、新規で一般建設業の建築一式工事と電気工事であれば9万円ですが、同じく新規で、特定建設業の建築一式工事と一般建設工事業の電気工事を申請する場合は9万円+9万円で18万円となります。

建設業における技術者制度

建設業の技術者制度における技術者の内容は複数あります。
建設業許可の要件の一つである専任技術者、工事現場に配置される主任技術者・監理技術者。また経営事項審査において評価される技術者。

契約や現場それぞれの場面において必要とされる技術を担保する技術者の制度ですが、それぞれ名前も微妙な違いなので、一見すると分かりにくい面もあります。

求められる1級、2級等の資格要件はそれぞれ類似、同様な場合が多いです。また専任技術者は基本的には、営業所に専任が求められますし、配置技術者は工事によっては専任が求められるものもあります。

また専任技術者、経営事項審査における技術者は、出向者でも可能ですが、現場の配置技術者については出向者は認められていません。

複雑な技術者の制度ですが、適切な個所に適切な人材を配置することが大切ですし、会社内でどのような人材が在籍しており、またどのような人材が求められているのか把握しておくことも重要となります。