経営事項審査における完成工事高(X1)

経営事項審査の評価項目の一つに完成工事高 (X1) というものがあります。これは建設業者の規模の評価をする項目となっています。

経営事項審査の評価項目は大きく5つありますが、その中でもこの完成工事高は25%というもっとも大きな割合を占めています。

この完成工事高は、審査対象事業年度とその前年度の2年平均または審査対象事業年度と前々年度までの3年平均のどちらかを選択することができます。

ただし複数の業種を申請する場合、2年平均と3年平均を混在で申請することはできません。1つの業種で2年平均を選択すると、その他の業種も2年平均を選択することになります。

例えば、建築一式と内装仕上を申請する場合、建築一式を2年で計算すると、内装仕上も2年で計算することになります。なので自社で主力となる業種や力を入れたい業種等を考慮して申請する必要があります。

また、建設工事の他にも販売等の兼業事業を行っている場合、この完成工事高の中にはその金額は含まれません。ですので兼業事業売上高が完成工事高に含まれてはいけませんし、逆に本来完成工事高に含まれるものが、兼業事業売上高に含まれていると点数に影響が出てきますので注意が必要となります。

完成工事高を業種間で振替

完成工事高は、業種毎に異なる金額が適用されます。しかしもし複数の業種の許可を持っている場合、一方の業種の金額を他方の業種の金額に振り替えることができることがあります。そうすることによって、ある業種の金額を増加させることができ、評点のアップにつながります。

ただし、業種間の振替については注意が必要なこともあり、振替を行おうとする際には、慎重に検討する必要があります。

  • 振替先・振替元どちらの業種も建設業の許可を持っていることが必要
  • 振替元の業種は経営事項審査を受けることができなくなり、公共工事の元請になることはできなくなる
  • 発注者によっては、そもそも振替を認めておらず入札に参加できない

振替のパターンは次のようになります。

◇一式工事へ専門工事の振替

  • 土木一式工事 ← 土木工作物の建設に関連する工事
  • 建築一式工事 ← 建築物の建設に関連する工事

◇専門工事へ他の専門工事の振替(関連する専門工事の間で振替を行うことができます。)

  • とび・土工・コンクリート ⇔ 石、造園
  • 電気 ⇔ 電気通信、消防施設
  • 管 ⇔ 熱絶縁、水道施設、消防施設
  • 塗装、屋根 ⇔ 防水